« 2015年2月 | トップページ | 2015年6月 »

2015年4月の2件の記事

2015年4月30日 (木)

安倍総理の米議会での演説は、聴衆が原稿を渡されていなければ伝わらなかっただろう

スピーチにはContent(原稿)とDelivery(話し方)の二つの要素がある。安倍総理の米議会での演説は、おそらく猛特訓をしただろうに、ダメなDeliveryの見本だったと思う。

Deliveryには、発音・滑舌、「間」の取り方、抑揚などの話術要素に加えて、表情や目配りやジェスチャーなどのボディランゲージがあるけれど、ここでは前者に絞って書くことにする。

今回の演説を聞いていると、意識して単語と単語の間に間に置いているようだけれど、一つひとつの単語をぶつ切りに短く話す悪い癖があって、発音も決してよくはないので聞き取りにくい。強調したい言葉は、ゆっくり話すことも必要なのだけれど、総理の場合はペースを変えずにただ声のボリュームだけを突然張り上げるので、ぎくしゃくして聞こえて伝わりにくい。

例えて言うならば、優れたスピーチのDeliveryというものは、なだらかなアナログ波形のように話している内容に連動して速度と音量に抑揚もあるけれど、安倍総理の場合はぶつ切りのデジタルパルスのようだ。

実は、発音は少々下手でも、この「内容と抑揚の連動」ができているスピーチの方が、単語の発音はきれいだけれど抑揚がないスピーチよりは伝わりやすい。自分が思うに、話している内容が本当に自分の言葉でなければこの「内容と抑揚の連動」はなかなかできない。スタッフが書いた原稿を読み上げているから、ContentとDeliveryがバラバラになってしまうのだ。

自分は以前、某大企業の社長のスピーチライターをやっていたけれど、政治家や企業経営者になると、スピーチのContentは別の人が作成することが多い。しかし、Deliveryする人は、そこに自分のこだわりを入れ、本当に「自分の言葉」となるまでに納得するまでスピーチ原稿を研ぎ澄ます人と、それをほとんどやらないでスタッフの書いた原稿を棒読みする人がいる。今回の安倍総理がどちらかは一概には言えないが、確かなことは、英語スピーチのDeliveryをもっと勉強する必要がある、ということだ。

実はスピーチの原稿全文を読むと、中身はそんなに悪くはない。この演説は議会ではそれなりに評価されたようだけれど、映像を見ると聴衆はスピーチの原稿を事前に渡されていて、それを目で追っていることがわかる。原稿を読みながら聞いているから何を言っているかがわかるけれど、それがなければおそらく半分も中身は伝わらなかったと思う。逆に、きちんとDeliveryができたら、もっと感動と共感を呼ぶことはできただろう。

自分も最初YouTubeの映像だけを見たら、全然内容が頭に入ってこなくて、原稿全文を読んで初めて、「ああ、そういうこと言っていたのね」という感じだった。そういう意味では、Deliveryに自信がない場合は、事前に聴衆に原稿を渡しておくべし、という教訓でもある。

ただ、厳しいことを言うと、中身も日米関係を持ち上げるだけの美辞麗句ばかりで、何ら新しいビジョンも提案も具体策も、考えさせることもなかった。そして結びのスピーチの決め台詞も、"join our hands together and do our best to make the world a better, a much better, place to live"=「一緒に手を取り合って、世界をもっと、もっと住みやすい所にするためにベストを尽くしましょう」という幼稚で陳腐な言葉には、日本人として穴があったら入りたくなるくらい恥ずかしくなった。


演説の原稿の全文は、こちら

にほんブログ村 その他趣味ブログ 多趣味へ
ブログランキングに一票を!クリックするとランキングが見れます

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年4月22日 (水)

アマゾンのカスタマーサービスのすごさ

Amazonのカスタマーサービスはすごい。Kindleの英語本を買うつもりで、間違って翻訳本の方を注文してしまったので、カスタマーサービスに連絡。携帯電話の番号を入力して、「今すぐ電話がほしい」をクリックするやいなや、電話がかかってきた。

Amazon_cs

ログインした状態からリクエストを飛ばしているから、担当者はこちらの個人情報や注文履歴の情報が見えている状態で電話をかけてきている。だから面倒くさい本人確認もないし、あれこれと説明して調べてもらう時間もかからない。わずか1分足らずでキャンセルと返金の手続き完了。

普通、返品や故障相談をしようとすると、まずは電話番号を探すのに一苦労する。できるだけ電話をかけてほしくないものだから、たいていはサイトの一番奥深くに隠れているし、メールでしか問い合わせを受け付けていない会社も多く、下手すると1日たっても連絡が来ない。電話したら電話したで、ボイスプロンプトのメニューを選んで、5分も10分も待たされることがザラだ。

自分は前職で膨大なコールセンターを抱える会社にいたけれど、コールセンターはいかに通話時間を短くするかが命。アマゾンはIT技術を駆使することで最小限の人数で反応時間も対応時間も最小限にして、同時に顧客満足を最大化している。

カスタマーサービスの対応を不満に思うことはあっても、その素晴らしがそこで買い続ける理由になるような会社が、世の中にどれだけあるだろうか。Amazonの当日配送のシステムもそうだけれど、本当に凄いネット企業は、目に見えないバックエンドが凄いのだ。ウェブサイトを作ればビジネスができると勘違いしているベンチャーが多いけれど、バックエンドがおろそかな日本のネット企業には、グローバルな競争では勝ち目はない。

今アマゾンのクラウドサービスAWSがIT業界を席巻しているけれど、アマゾンは別に最初からITサービスを商売にするつもりではなかったはずだ。自社用にあまりにも優れたインフラを作ってしまったので、これを外部向けに売らないのはもったいない、という発想から来たのだと思う。

にほんブログ村 その他趣味ブログ 多趣味へ
ブログランキングに一票を!クリックするとランキングが見れます

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2015年2月 | トップページ | 2015年6月 »