« iPad Miniを買ってあらためてiOSがいかに優れているかを実感 | トップページ | 「原価」とは何だか知っていますか? »

2014年5月26日 (月)

「肖像権」とは何だか知っていますか?

天皇皇后両陛下が栃木県小山駅を訪れた際、女子高生のTwitterユーザーが駅で両陛下の写真を撮影し、ネットで公開したことの「肖像権」をめぐって、賛否が分かれている。

Emperor

マスコミも一般人も、その意味をろくにわからずに「肖像権」という言葉を使っている。防犯カメラの設置に対して「肖像権侵害」と言う人がいるくらい、すべての人がどんな場合でも主張できる権利だと思っている人がほとんどだろう。しかし事実はそうではない。自分は写真が趣味なので、このことについては調べて勉強していたのでシェアさせていただく。

まず、「肖像権」を直接定めた法律の条文は存在しない。つまり肖像権とは俗称である。しかし法律解釈的には肖像権は、憲法第13条(幸福追求権)を根拠にした「プライバシー権」と、人格権に基づく「パブリシティー権」に分類されると考えられている。

「プライバシー権」とは、みだりに撮影されたり、勝手に公表されない権利だが、悪意のある撮り方や公表の仕方など公序良俗に反する形でなければ、通常問題ないとされている。また、犯罪の防止や立証という正当な目的での公共の場所における防犯カメラは、プライバシー権を侵害しないとされている。スピード違反で摘発されて、オービスはプライバシー権の侵害だと訴えた不届者がいたけれど、当然退けられた。

「パブリシティー権」とは、利用に対しての財産的利益の請求権。「私的利用の範囲内」ならば問題はないが、被写体の「顧客吸引力」を利用して、広告宣伝やポスター、パッケージなど商業目的に利用する場合は許諾が必要。

しかし、被写体が芸能人の場合、商業目的ではなくてもインターネットで不特定多数の人に対して公表することは「私的利用の範囲」を超え、「営業的付加価値」を侵害する場合はパブリシティー権を主張できることもあるので、許諾を取ることが望ましいとされている。

ただし一般人の場合は、そもそも「顧客吸引力」や「営業的付加価値」など存在しないので、商業利用目的ではない限り、パブリシティー権を主張することは困難だろう。

歩行者天国や公道・公園などの誰もが自由に無料で出入りできる場所での撮影は、一般的にはプライバシー権を主張することはできない。ただし、私有地・民家や商業施設などの室内や閉ざされた空間では、その場所の管理者の運用ルールに従い、建物のパブリシティー権が発生する場合は、(被写体の人物ではなく)建物の管理者の許諾が必要な場合がある。

通常、職務中の公務員や芸能人・スポーツ選手の姿にはプライバシー権は主張できないとされている。ただし、私的空間や私生活の場合はこの限りではない。
また、前述のように商業目的の場合はパブリシティー権が発生する。

以上に照らし合わせて今回の写真を見てみよう。

まず、明らかに商業目的ではない。両陛下は、明らかに写真を撮られることを合意されているご様子。今の時代、写真を撮られたらネットに上げられるということくらい両陛下もおわかりではないだろうか。移動中なので、公務中か私生活かは微妙で、場所的には改札の内側か外側かで駅が閉ざされた場所か開かれた場所かも微妙なところ。

肖像権は、直接定めた法律がないため、このようにその解釈は曖昧である。しかし最も大事なのは、撮影された人が合意されていて、それが撮られた人が嫌がる公表の仕方や商業目的でなければよいと見るべきではないだろうか。この写真の場合、むしろお二人のお人柄がよく描かれていて、イメージアップにつながる写真であると言えるだろう。

なお、その後、天皇陛下の写真撮影・公開について宮内庁の報道室はこう発言している:

「一般の方がブログなどで個人的に楽しむ分には制限などはしていない。失礼のないように、常識的な範囲で載せる分には問題ない。」


ただし、ここで誤解のないように言っておくが、ここに書いたことはあくまでも例えば裁判に持ち込まれた場合の一般的な法的解釈であって、裁判で勝てるかどうかは別として、訴えられたりクレームを受ける可能性は、常にある。クレームを受ける可能性のあることは、しないことが一番いいに決まっている。

防犯カメラなどに対しても、何でも神経質に「肖像権侵害だ!」と言う人も問題だけど、ここで書いた法律知識を振り回して、「この場合はプライバシー権は主張できません!」と開き直って傍若無人に撮りまくるのも、やはり問題のある態度と言える。

だから、プライバシー権やパブリシティ権が発生しないからと言って、何をしてもよいことにはならない。カメラマンたる者、写真とは常に「撮らしてもらっている」という礼節が重要だ。被写体が見ず知らずの他人であればなおさらだ。

スナップ撮影は、堂々と「ここで撮っていますよ」という態度の方が問題が起きにくい。堂々と出来ない時は、何かうしろめたさがある。自分に置き換えてみて、「これは撮ってほしくないな」と思ったら撮らない方がいいし、「これは不特定多数の人には見られたくないかもしれない」と思ったらネットにはアップしないことだ。

にほんブログ村 その他趣味ブログ 多趣味へ
ブログランキングに一票を!クリックするとランキングが見れます

ご参考:

|

« iPad Miniを買ってあらためてiOSがいかに優れているかを実感 | トップページ | 「原価」とは何だか知っていますか? »

☆写真・カメラ関係」カテゴリの記事

!オピニオン」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/33255/59711614

この記事へのトラックバック一覧です: 「肖像権」とは何だか知っていますか?:

« iPad Miniを買ってあらためてiOSがいかに優れているかを実感 | トップページ | 「原価」とは何だか知っていますか? »