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2013年6月14日 (金)

映画「インポッシブル」は、「恵まれすぎていて」感動できない

今上映中の映画「インポッシブル」は、アメリカではすでにブルーレイ化されているので、アメリカのAmazon.comから個人輸入して観ました。「感動作」と言われるような映画を悪く言うのは勇気がいるのですが、正直な感想を書かせて頂きます。ネタバレがあるので嫌な人はこれ以上読まないで下さい。

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結論から言うと、私がこの映画のタイトルを付けるとしたら、Impossibleではなくて、Incredibly Lucky(奇跡的に幸運)です。この映画の主人公たちは、「恵まれすぎて」いて、「運が良くてよかったね」という感想以外にない。演技も良かったし、部分的にはいいシーンもありましたが、地震や津波に縁遠い西洋人ならともかく、この映画を観て感動した日本人がいるとしたら、よっぽど甘ちゃんなのではないかと思います。

津波の被害にあった一家5人がたまたま全員生存していたこと、バラバラになりながらも比較的簡単に再会を果たせたこと。一番不愉快だったのは、父親が一流多国籍企業に勤めていたおかげで、瀕死の重傷を負った母親をプライベートジェットに乗せてシンガポールの一流病院に運ばれるという、いかにも高給取りの西洋人が東南アジアでは当然受けるべきと考える特権階級意識丸出しのVIP待遇のエンディング

スマトラ沖地震による津波の被害に遭った人も、東日本大震災の津波被害に遭った人も、そんな特別扱いを受けることなく命を落として行った人は数知れない。もっと悲惨な思いをし、もっと大きな勇気と努力と家族の絆をもってしても、報われなかった人の方がはるかに多い。

そもそもが優雅なリゾートの旅先での被災だから、家や車や職場や同僚や親類を失ったわけではなく、本国に逃げ帰って、「大変な目に合った」と武勇伝を語ればそれで済む。何年もかけて、放射能汚染と闘いながら、住む場所や働く場所などの生活を立て直さなければならない、本当の勇気と絆が必要な現地被災者からすると、わずか数日間の苦境体験で「インポッシブル=不可能」な状況を覆したなどと軽々しく言ってヒーロー面をして欲しくないだろう。

最近、めっぽう涙腺が弱くなった自分でも、この映画では涙一つ出ませんでした。むしろ、残ったのは憤慨に近い嫌な後味だけ。

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