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2013年6月23日 (日)

富士山の世界文化遺産登録にあえて苦言を呈する

富士山が世界遺産に登録されたことは日本人として喜ばしいことだとは思う。しかし、世界遺産で騒いでいるのって、日本人だけではないのだろうか。私の延べ11年のアメリカ生活、それから13年の外資系企業の経験の中で、外国のテレビからも、外国人の口からWorld Heritageという言葉が出てきたのを聞いたことはただの一度もない。

むしろ、National Heritageという、各国が独自に指定しているものの方が一般的だ。外国では、世界遺産という制度の存在しら知らない人の方が多いのではないかと思う。日本と言えばフジヤマというくらい、富士山の知名度は元々高い。だから、知床や屋久島と異なり、世界遺産に認定されたからと言って、富士山へ外国から観光客が殺到するとは思えない。

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アメリカの世界遺産には、グランドキャニオン、ヨセミテ、自由の女神など沢山あるけれど、アメリカ人はこれらが世界遺産だという認識はないだろう。ここは三箇所とも行ったけど、ここが世界遺産だという記載を見た記憶はない。そんな認定などされなくても、自分たちは価値を感じているし、だからきちんと守るし、観光客だって世界遺産だから来るわけではない、という、どっしりと地に足が着いた大人の意識を持っている。

それに対し、世界遺産登録をあたかもオリンピックの金メダル獲得のようにはしゃいでいる日本を見ると、すごく子供っぽく思える。大体、日本人は外国の権威に弱すぎるのではないだろうか。富士山の美しさは、認定などされなくても誰でもわかっている。その良さを、外国の機関に認めてもらう必要がどこにあるのだろうか。

今回の富士山の認定で一番気に入らないのは、「世界遺産に認定されるために、山をきれいにしよう」などという本末転倒な議論が何の疑問もなく当たり前にされていたこと。これまで登山客のゴミのみならず、毎年何十トンもある不当投棄をなくす有効な仕組みを作らないでおいて、世界遺産の審査に入ったから浄化作戦を展開するなど、ガールフレンドが家に遊び来るからあわてて部屋を掃除する中学生並の発想だ。

その挙げ句、自然遺産の認定は無理だから申請を文化遺産に切り替えるという強引な論理展開。そんな強引な理屈を受け入れたユネスコもおかしいと思うが、富士山は、どう考えても自然遺産だろう。世界遺産の認定を勝ち取ることが目的化してしまっていて、全てが本末転倒だ。

世界遺産に浮かれている人でも、富士山は文化財保護法で「特別名勝」に指定されていることを知っている人はほとんどいないだろう。それは、日本では法律で「指定」するだけで、継続的に管理実行する実体が伴っていないからだ。文化財における違反行為に対する罰則も甚だ不十分な上、知らしめられていないから抑止効果もない。

アメリカのNational Parkだったら、国によって厳格に管理されており、違反行為は厳しく罰せられる。不法投棄などしようものなら、罰金では済まない。牢獄行きだ。だからこそそこに行くと厳粛な気持ちになるもので、訪れる人のリスペクトもあるが、日本人は富士山を愛し、美しいとは思っていても、現場では野放しなのでいざそこに行くとその自然に対するリスペクトがない。

世界遺産登録を機会として、単に見て「美しい」と思うだけでなく、日本人が真の意味で名勝を愛し守れるようなしっかりとした仕組みを作ることできれば、それが一番の快挙ではないかと思う。

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