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2012年7月の3件の記事

2012年7月27日 (金)

「冷えた4本のビール」

Beercase180x140昨日、消費者の期待を裏切って客を「テロリスト」にしてしまう日本経済新聞社の体験の話しをしました。
今回は逆に、客の期待を超えるサービスによって「エバンジェリスト」を作る話しをしてみたいと思います。これは、新将命(あたらし まさみ)さんという、日本ジョンソン&ジョンソンの社長など数々の会社の経営者を歴任された方の講演で聴いた話しです。

これは実話なのですが、渋谷に、とても流行っている酒屋さんと、そうでもない酒屋さんがありました。立地や品揃え、お店の大きさなど、さほど変わらないのですが、売上は数倍違うのです。 この違いがどこから生まれるのでしょうか。

夕方4時頃、ビール1ケースの注文が入ります。あまり流行っていない酒屋さんは、倉庫からビールを1ケース出して、配達します。頼まれたことを頼まれた通りにやります。これは、事前期待=事後評価。すなわち、当たり前です。だから、このお店でどうしても買う理由はありません。

流行っている酒屋さんも同様に倉庫からビールを1ケース出してきます。しかし、4本だけ引き抜いて、お店の冷蔵庫でキンキンに冷えているビール4本と入れ替ます。夕方にビールの注文があるということは、ご主人が帰ってくるのにビールを切らしてしまったとか、急な来客があるとか、あるいはお客さんがいてビールを切らしてしまったのか、などと想像力を働かせて、お客様が喜ぶ対応をするわけです。

これは、ひとつの事例ですが、流行っている酒屋さんは、一事が万事で、あらゆることを同じような発想で取り組んでいるのです。

頼んだこと以上のことをしてくれる。事前期待<事後評価です。これは感動しますから、ファンになり、「またこのお店で買おう」と思うし、「あの店は素晴らしいよ」と人に勧めますから、「エバンジェリスト」となり、それがまたファンとエバンジェリストの輪を拡大し、この小さな心配りの違いが、数倍の売上げの違いを生むのです。

このように、買うべき理由がある会社は、顧客に選ばれる会社になり、勝ち残る会社になります。買うべき理由は、業種や業態や商品によってまちまちです。品揃えなのか、品質なのか、価格なのか、納期なのか、営業時間なのか、接客なのか、アフターサービスなのか。

これは会社だけではなく、個人の仕事ぶりにも通用する考えです。
「売れない」「会社から評価されない」などとぼやく前に、自分は頼まれたことを頼まれた通りにやっているだけで満足していないか?と自問自答してみるべきです。高く評価される会社や社員は、常に期待される以上のアウトプットを出しているから評価されるのです。

自分の会社や、自分の仕事にとっての、「冷えた4本のビール」とは何だろう?ということを考えてみましょう。

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2012年7月26日 (木)

引っ越しで体験した、日本経済新聞社の馬鹿さ加減

我が家では、日本経済新聞、日経産業新聞、日経MJを購読しています。当然、同じ新聞販売店から毎日配達されます。このたび引越しをするので、日経に電話して、配達先の住所変更をするという、きわめて簡単な手続きをする・・・はずだった。

電話に応対した係いわく、日経産業と日経MJの配達先変更はこの電話で受けられるが、日本経済新聞に関しては、電子版とセットの契約をしているので、その場合はネットで住所変更手続きをしなければならないと言う。

温和な性格なので、めったに声を荒げたりクレームを言ったりしないのだが、これにはキレました。

「PCは引越荷物に入れてしまったし、転居先に落ち着くまでしばらくネット接続環境もない。この電話ですべての購読紙の配達先変更は受けられないのか。」

「電子版に契約しているお客様は、インターネットから住所変更をする決まりになっていますので。」

「ふざけたことを言うな。電子版と紙の新聞の配達先は関係がないだろう。これからあなたは私の家を担当している新聞販売店に日経産業と日経MJの配達先変更の指示を出すのだろう?そのついでに日経新聞も含めればいいだけのことだ。そんな当たり前のこともできないくらい日経という会社が馬鹿ならば、この電話で購読を全部解約する。

「少々お待ちください」


・・・待たされること約5分。

「お待たせいたしました。上の者と相談した結果、この電話ですべてのご購読紙の配達先変更手続きをさせていただきます。」

やればできるじゃないか。当然だ。しかし自分は引き下がらなかったから例外的に認めてくれたのだろうが、このナンセンスな「決まり」を廃止したわけではないから、まだ同じ目に合う購読者は続く訳だ。

自分もビジネスマンだから、大企業、しかも大マスコミが、消費者視点を全く欠いた、提供者側の都合しか考えていない馬鹿げたことを消費者に押し付けようとする態度は、本当に腹が立つ。

製品やサービスの満足度は、事前期待と事後評価の関係で決まる:

事前期待>事後評価: 消費者は、ネガティブなクチコミを発信する「テロリスト」となる
事前期待=事後評価: とりあえず満足するが、もっといいものが出れば浮気する
事前期待<事後評価: 期待・予想を超える体験で感動した消費者は、リピーターとなり、「エバンジェリスト」となり、他人に勧める

企業が目指すべき真の顧客満足とは、この2番目の「とりあえず満足」ではなく、3番目の、お客様の期待や予想を超える感動体験を提供し、エバンジェリストを作ることだ。間違っても、1番目の、顧客の期待値以下のサービスで私のようなテロリストを作ってはならない。


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2012年7月 3日 (火)

ソニーのMusic Unlimitedは「食べ放題のジャンクフード」

ソニーが、月額1,480円で、聞き放題の定額制音楽配信サービス「Music Unlimited」を始めた。

Music_unlimited

発表文にもサイトにもどこにも記載がないが(おそらく恥ずかしくて書けないのだろう)、この音楽配信サービスの音源は、48kbpsという、着うたフルなどに使われている低ビットレートのHE-AACというコーデックを使っている。iTunesの256kbpsと比べると1/5のデータ量だから、いくらHE-AACが良いとしても、相当音質は劣るし、もちろんCDとは比べるべくもない。

「音楽」は、「音が楽しい」と書く。それは、もちろん好きなアーティストや「楽曲を楽しむ」、という部分が大きいが、それと同時に、ボーカルの息づかいや、楽器の材質感や、あたかも目の前で演奏されているような音像定位や空気感などの、「音の良さを楽しむ」という世界があるはずだ。その「音の良さ」が、楽曲の良さをさらに引き立てて、「音楽」となるのだ。

Nwa860_b自分は、iPhoneのお粗末なオーディオ回路と圧縮音源を使うようになってから、めっきり音楽を聞かなくなってしまった。それは、そのような「音の良さ」を楽しめなくなったからだと最近気付いた。

だから、「このままでは耳が腐る」と思い、音源をすべて384kbpsのAACから、非圧縮かロスレスのコーデックに入れ替えて、皮肉にもソニーの「ウォークマン史上最高音質」を謳う音楽専用プレーヤーに切り替えたらもう雲泥の差で、再び音楽を楽しめるようになった。

MP3などの圧縮音源の平板な音を、貧弱なオーディオ回路と安物のヘッドホンでしか音楽を聞いたことのない若い世代は、ハイファイオーディオの体験がないから、「良い音」がどんなものかを知らない。このような人たちは、楽曲(メロディ)だけを楽しめればいいのかもしれない。圧縮音源でも低音やボーカルの領域はそれなりに再現されるから、流行のポップスを聞くにはまだいいけど、音像定位だけは救いようがないからクラシックやアコースチックな楽器は聞くに堪えない。

低ビットレートの方が、より多くの曲を端末に入れることもできる。だから、「聞き放題だから低ビットレートでいいだろう」という考えはビジネス的には正しいのかもしれない。多くのユーザーが48kbpsで"Good Enough"ならば、それは残念ながらメーカーと音楽業界が過去十数年かけて、そこまで消費者の耳を腐らせ、期待値を下げてしまったということだ。

しかし自分には、この姿勢は「どうせ味なんかわからないんだから、この程度のものを食わせておけばいい」と料理人が言っているように感じてしまうのだ。確かに多くの大衆はそうかもしれないけれど、ジャンクフードだけになったら食文化は衰退する。

かつて「オーディオ」という製品カテゴリーは、テレビやビデオと肩を並べる市場規模があった。しかし、映像の世界が、ビデオテープ→DVD→BD/HD→4Kと着実に正常進化を遂げる中、音楽の世界は30年前に発売されたコンパクトディスクで進化を止めてしまった。それどころか、むしろ圧縮音源によってその質を劣化させてしまったことが、ハイファイという言葉を死語にし、オーディオというビジネスを携帯音楽プレーヤー以外はほとんどないものにまで縮小させてしまった。CDの売上げは毎年減り続け、その差は音楽配信では埋まっていない。

言い換えると、映像の場合はライブパフォーマンスと録画されたコンテンツの品質の差はどんどん縮まっているのに対して、音楽の場合は、そのギャップは逆にどんどん広がっているわけだ。それが、音楽業界の低迷の大きな理由の一つであるということを、業界は認めようとしていない。映像に例えたら、今の音楽業界はワンセグ画質の映像だけになったようなものだ。

私は、このブロードバンドとストレージが安価になった時代にソニーがやるべきことは、このような低音質サービスとは正反対の、DSDやFLACなどの高音質コーデックを使って、アーティストが魂を込めて録音したマスターテープの高音質をそのまま再現できるハードウェアと配信プラットフォームだと思っていた。それが技術的にも立ち位置的にも主導できるのは、プロオーディオと、コンスーマー用の端末と、音楽会社を持つソニーしかないはずだ。

ソニーにはぜひ、音楽再生の品質と音楽文化を後退させることだけでなく、映像の世界のように飛躍的に向上させることをやってほしい。そうすれば、再び「オーディオ」という市場とともに、音楽ビジネス全体が活性化するのではないかと思う。

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