私が唯一店頭でCDを買う店、銀座の山野楽器
最近、本やCDは欲しいものがわかっている場合は、価格は安いし、当日か翌日には届くので、ほとんどAmazonから購入しています。Amazonはレコメンドエンジンが優秀なので、買おうと思っていた以外の「発見」もそれなりにあります。それでも唯一、実店舗でCDを買う店があります。それは銀座の山野楽器です。
銀座の山野楽器は新しいアーティストやアルバムとの出会いがあり、「買物体験」が楽しい、というのがその理由です。特に、私の好きな3階のジャズ売場は、1階の邦楽売場とは違って落ち着いた大人の雰囲気で、大変気に入っています。あと一階上がるとギター売場があるのも、ただ眺めるだけでも楽しいです。
この売場が優れているのは、スタッフが本当にジャズが好きで、わかっているからです。そのことが、色々なところで売場から伝わってきます。まず、ここに行くたびに楽しみにしているのは、スタッフお勧めのアルバムの特徴が細かく書いてある手書きのPOPです。それも、メジャーなアーティストよりは、あまり聞いたことのない「掘り出し物」が多いです。これは、売っている商品を徹底的に聴き込み、愛していなければできません。それを見て「ああ、こういう感じは自分の好みだな」というものを買えば、はずれることはありません。

そして、山野楽器の二つ目の優れたポイントは、売場のBGMの選曲が素晴らしい上に、それを大変音のいいオーディオシステムで流していること。これは、ジャンルごとにフロアが分かれている店でないとできません。ワンフロアに全ジャンルを売っているような店では、BGMは流行のポップスしかかかることはありませんから。今までここに来て、その場にかかっているアルバムを買ったことが何度もあります。実はそのような客も多いようで、「BGM人気盤」というPOPが貼られたCDもあり、それがまた新たな出会いを生んでくれたりします。
ところで、ここで使われているKOIというサテライトスピーカーシステムは、超小型ながらびっくりするくらいいい音がします。BOSEから独立したエンジニアと、バークリー音楽大学で共同開発され、「人間心理音響学」に基づいて、周波数特性よりは人間の感知する「いい音」の再現を目指しています。胸にズシンと響くような重低音と、極めて自然なボーカルや楽器の音が再現され、楽器と同じような音の放射をするので、スピーカーの外側にいても音像に立体感があります。専用アンプ込みで価格は270,900円とちょっと高いですが、ここで販売もしています(かなり欲しいです)。
さて、本題に戻すと、今日も売場で流れていた素晴らしい演奏に惚れて買ってしまったのがこれ。Swing Jazzのギタリスト、Chris Floryの新譜で、ゲストにScott Hamiltonのサックスを迎えています。余裕から来る、力の抜けた軽快な演奏は、ものすごく心地よい。思わずバーボンをロックで飲みながら聞きたくなるアルバムです。スイングジャズ、特にジャズギターが好きな人なら絶対にお勧めです。
この銀座の山野楽器のような音楽に対する知識やこだわりは、ターミナル駅の大型チェーン店のアルバイトしかいないような店では決して見ることはできないので、そのようなところには足を踏み入れません。今後、本やCDの店頭販売は、このような商品との出会いや、楽しい「買い物体験」を提供してくれるような工夫がなくて、「ただ商品を並べて売る」というだけではすたれる運命にあると思います。
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