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2010年9月14日 (火)

「環境性能のスーパーカー」、TESLA

生シュワちゃんの後は、生TESLAの話題です。クルマ好きの人ならば、スーパーカー並みの性能と400キロという長い航続距離の両立を実現した電気自動車TESLAのことは聞いたことがあると思います。TESLA MOTORS社は、2003年にシリコンバレーで設立されたベンチャーで、2008年から累計1,200台のRoadsterを出荷していて、偶然にも前日に会ったシュワちゃんもTESLAのオーナーです。

Tesla_red

このクルマ、0-時速100キロを4秒足らずで加速し、最高速度は212キロと、エコカーというよりはスーパーカーです。一回の充電で約400キロを走ることができ、これは東京から仙台、または名古屋、新潟までの片道距離に相当し、充電は4時間(200V70Aの場合)。ちなみに、日産がその総力を結集して年内に発売する電気自動車リーフの航続距離はわずか160キロで、これではレジャーでの使用は無理ですね。

TESLAは価格もスーパーカー並みの1,276万円ですが、日本政府のクリーンエネルギー自動車補助金324万円を受けられますので、実質的には952万円となります。

さて、何故TESLAの話題かと言うと、さそりいのししが会員になっている在日英語圏ビジネスマンのネットワーキング月例会(以前の記事 その1 その2)での今月のスピーカーが、TESLAのアジア太平洋地域ディレクターのKevin Yu氏だったからです。さそりいのしし的には、非常に印象に残った話しが3つありました。

Tesla_front
(これらの実車の写真は、講演が終わった後に同氏が会場となった日本橋のマンダリンホテルの下に停めていたRoadsterを見せてくれた時に撮ったものです)

one 技術的に面白かった話は、バッテリーに関するものでした。大手自動車メーカーがEVやハイブリッドに使っているバッテリーは専用設計の大型なものに対して、TESLAが使っているのは、パナソニック製のノートパソコン用の汎用セルを6,800個も束ねたものです。

Tesla_cells当初は、この手法は業界の笑いものだったそうです。なぜならば、円筒形のバッテリーを並べると、当然その間には多くの隙間が発生するので、集積度を上げることができないのでかさばるからです。

TESLAは、正に逆転の発想で、その隙間を利用して、そこに冷却用のチューブを通すことを考えました。電気自動車の充放電の効率に関する多くの技術的課題は熱対策にあるので、TESLAはこの手法でそれを解決し、どのメーカーも達成できなかった長い航続距離を実現できたわけです。同社の特許の多くはこのバッテリーの冷却と充電管理にまつわる技術とのことです。

ベンチャーだから、大手自動車メーカーのように専用設計のバッテリーの開発や製造にお金をかけられない。でもそれが逆にTESLAの強みになったわけです。
いまやトヨタもTESLAに出資し、豊田章男社長に

「Tesla社の高い技術力、モノづくりにかける強い思い、ひたむきな姿勢に、無限の可能性を感じた。ベンチャー企業である同社から、チャレンジ精神や意思決定の速さ、柔軟性など多くを学びたい」
と言わしめる存在にもなったことは、正にアメリカン・ドリームです。

Tesla_battery

two 二つ目の印象的な話しは、電気自動車に対する懐疑心の払拭です。電気自動車に関してよく言われるのは、「ゼロエミッション」というけれど、電気を作るのにもエネルギーを使うじゃないか」ということ。

それは確かにそうですが、車にガソリンを給油するまでの全工程をよく考えてみると、中東で掘削し、何千キロも大型タンカーで運び、巨大タンクに移し、化学的に精製し、さらにトラックに載せてスタンドに運び、電気ポンプを使ってそこのタンクに貯め、人の手で再び電気ポンプ使って燃料タンクに給油する。その過程には実に多くのエネルギーの消費とCO2の発生と人手とがかかっていて、代替手段はありません。

それに対して、電気は原子力でも水力でも太陽光でも風力でも作れます。何よりも、紛争地域の中東に依存しないエネルギー源という側面は地政学的に重要です。

TESLAのオーナーには風車や太陽光発電で「売電」している人も多いとのこと。ガソリンを個人で自給自足するなんてありえませんが、電気自動車ならありうるわけです。

Tesla_rear

もう一つの電気自動車に関する懐疑心は、充電時間に関するものです。曰く、「走行中にバッテリーがなくなったら、何時間も充電に待たなくてはならない」というもの。しかしこれは、ガソリンエンジン車と同じ使い方の発想からくる杞憂です。ガソリン車は、満タン状態から短い距離を何日かかけて走り、いよいよ空になりそうになったら給油するのが普通で、こまめに毎日給油する人はいませんよね。

しかし電気自動車は、一日の走行が終わったら、コンセントにつないで寝ている間に充電すれば、毎朝400キロ走れる状態になるわけです。だから、一日に400キロ以上連続して走らなければならない人以外は、電気自動車は何の問題もないことになります。バッテリーの寿命は1000回の充電なので、仮に週に2回充電したら10年、週4回でも5年は持つことになります。

ちなみに、400キロ走れるフル充電に要する電気代は約700円だそうです。仮にリッター20キロ走るハイブリッドでも400キロ走るには20リッターx125円=2,500円かかるので、コストは1/3以下です。このTESLAと同じくらいの性能のスーパーカーだと、リッター6キロくらいしか走らないでしょうから、そうなるとコストは1/12になります。これぞ環境性能。

Tesla_cockpit_460x345

three 最後の印象的な話しは、TESLAの購入者はいくらお金があっても、それまではフェラーリやポルシェなどのスーパーカーには見向きもしなかった人が多いということ。つまり、同じステータスシンボルでも、単に性能やかっこよさだけではなく、環境性能という全く異なる価値観のステータスシンボルということです。

TESLAは、ほとんど広告宣伝費を使う必要がないそうです。それは、そもそも社会的に影響力のある人たちが購入するので、そのオーナー達が次々と新しいお客を連れてきてくれるからです。羨ましいビジネスモデルです。

また、TESLAに転職した多くの従業員は、前職よりも低い給料でもTESLAのビジョンと将来性を信じ、TESLAに働きたいから移ったとKevin Yu氏は言っていました。今どき、なかなかそんな会社はないですね。
実は、この講演の翌日にたまたまあるアメリカ人にTESLAの話しをしたら、目を丸くして、2年ほど前にTESLAで働きたくて、いくつかビジネスプランを送りつけたことがあって、今一番働きたい会社だと興奮して語っていました。

TESLAの第一弾はこのRoadsterですが、2012年に登場予定の第二弾のModel Sが既に発表されています。

Tesla_model_s_460x306

一見、普通のセダンに見えますが、実は3列シートの7人乗りで、最後列は後ろ向きの子供用のシートだそうです。注目すべきは、価格は500万円程度になるとのこと。Roadsterはちょっと手が出ないけれど、Model Sならいいかな。

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