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2007年1月29日 (月)

「飢餓感を煽るマーケティング」

最近は何でも手に入る世の中になったせいか、「飢餓感を煽るマーケティング」が横行しているような気がします。「行列ができる店」とか「入手困難」となると、その評判を鵜呑みにして何も考えずに並んで買おうとする、自分の価値基準のない思考停止型の人種が多いからです。

先日、街でこんな光景に遭遇しました。カップルの女性が長い行列をみつけると、男性に向かって曰く:

「あなたここでとりあえず並んでて。私、前に行って何を売ってるか見てくるから
・・・絶句してしまいました。

例えば:
・100メートルの行列ができるデパ地下の店
・1時間の行列ができるラーメン屋やドーナッツ屋
・半年先まで予約の取れないレストラン
・地元では2千円以下で買えるものが、東京に来たとたんに1万円になり、それでも入手困難な焼酎や日本酒。

そして並んでいる人や入手できない状況を見て、「そんなに人気があるならいいに違いない」と思って「行列が行列を呼ぶ」。そして高度に発達したマスコミやネット情報がそれにさらに拍車をかける。

上記のものは、本当に需要に供給が追いつかないのかもしれません。しかし、その「需要」もそもそもマスコミのハイプ(煽動)によって過剰に拡大されたもの
そして最近では、これを一歩進めて、意図的に供給量を抑えることによって売り切れ状態を作り出し、「飢餓感」を出そうという手法が現れ始めています。

ご存知のように、現在Nintendo WiiやDS Lite、PlayStation3は店頭では常に「売り切れ」「次回入荷未定」。新発売時の数週間後で本当に生産が追いつかないならいざしらず、DS Liteのように発売後半年以上たっているものが、消費財でもあるまいし需要に生産が追いつかないなんてことがあろうはずがない。あるとしたら生産計画の担当者は即刻クビにするべきでしょう。

実は、先日ゲーム機を販売している小売業の会社の社長さんと話していたら、ゲーム機の意図的な供給制限は、もはや業界の常識というか常套手段になっていて、最大の目的は値崩れ防止ですが、普通に店頭で買えたりしたらそのゲームプラットフォーム自体に「人気がない」と思われてしまうこともメーカーは恐れているらしい。

だから、同じ100台を売るのでも、毎日少しづつ売って100台を売るのではなく、普段は「枯らして」おいて、1~2週間に一度、入荷した数時間で一気に同じ台数を売りさばく、という手法を取るわけです。

Megamac_large_2_1
そして、ついにマクドナルドまで。「メガマック」というやつです。先週何気なく入ったマクドナルドで、これを頼もうとしたら「一日20個限定」で、「本日分は完売しました」だと。

目を疑いました。だってメガマックって、ビッグマックに肉を2枚追加しただけのようなもんでしょ?

さらに、このような「お詫びのお知らせ」を広報発表しています:

お客様各位
メガマック 数量限定販売のお知らせ

日ごろのご愛願に深く感謝申し上げます。
メガマックは、大変なご好評をいただき、予想を大きく上回る販売状況となりました。
お客様にはご迷惑をおかけいたしますが、一日毎に、数量限定での販売とさせていただきます。
深くお詫び申し上げます。

早急に、皆様に商品をお届けできるよう体制を整えるべくまい進してまいりますので、なにとぞご理解を賜りますようお願い申し上げます。
日本マクドナルド株式会社

騙されてはいけません。これは「お詫び」じゃなくて、「こんなに売れてるんですよ」という「宣伝」です。こういうお詫びを出すこと自体が、マーケティングなんです。

さそりいのししはあまのじゃくで判官びいきだし、行列に並ぶのは大嫌いだから、大流行や人が殺到するようなものには惹かれるどころか、本能的に避ける習性があります。

しかし、最近では「行列の長さ」や「売り切れ状態」がものの価値を図る重要な尺度だという、おかしな世の中になってきています。 そのような尺度で購買行動をする人たちは、「自分の尺度」がないから、「他人の尺度」を信用するしかないいのでしょう。

でも供給者側も、あまり見え透いた底の浅いことを続けていると、そのうち消費者から見破られてそっぽを向かれるのではないかと思います。

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コメント

人もその集団である企業も「利他の精神」に欠けていては、いつかきっと足元すくわれると思います。
“Death of Marketing”時代の到来は時間の問題でしょうか。
「千万人といえども吾往かん」的なコメント、今後も期待します。

投稿: TED | 2007年1月29日 (月) 10:24

TEDさま

コメントありがとうございます。
従来型のプッシュ型のマーケティングは既に死んでいると思います。だからこそこのような新たな手法が出てくるのです。
消費者は、企業が自分で直接訴える宣伝文句よりは、どれだけ行列ができるかとか、口コミとかの方を信じるようになっています。
だから、企業は、自社の商品がいかに人気があるかということをマスコミに取り上げてもらえるかに必死なのです。

投稿: さそりいのしし | 2007年1月29日 (月) 13:08

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